□ページングの概要
ページングは、主として多数のハンドセットステーション(送受話装置)とスピーカおよび共通に設けられた増幅器によって構成されています。回路方式は呼出(指令)(Paging)と通話(Party-Line)の2チャンネル音声伝送方式で、呼出チャンネルはハンドセットの送話器出力を増幅し、同系統全部のスピーカを作動させるものであり、通話チャンネルは各ハンドセットステーション内蔵の増幅器で1 個または数個のハンドセットの受話器を作動させるものです。
ハンドセットステーションおよびスピーカは現場各所に配置され、制御増幅器は通信室(仮称)などに設置されます。この運転操作は通常、すべてハンドセットステーションにおいて行い、制御増幅器を遠隔制御して呼出、指令、一般通話、会議通話および警報発令等を回線選択せず即時に行うことができます。したがって交換機のような回線選別装置がなく、制御増幅器も無操作なので、この装置を運転させるための専任の人員は不要です。
また客先によっては、運転に支障が出ないように通話を3チャンネル化して、構内工事業者等には運転とは別の通話回線を使用させる例もあります。その場合、ケーブルは既設そのままで(2芯シールド線×3本)、回路の工夫により省線式通話3チャンネル方式の製作も可能です。(特許第3048381 号)
□ページングの使用法
通常の状態におけるハンドセットステーションの操作方法は極めて簡単で、ハンドセットステーションの代表的な形である屋内壁掛形を例に説明します。
①呼び出しまたは指令
ハンドセットをフックから外し、電話機の送受器で通話するのと同じ要領で送話器に口を近付け、「指令」の押釦スイッチを押したままで送話すれば、構内のスピーカから放送される。
②電話
発信者は「指令」の押釦スイッチから指を離すだけ、受信者は任意のハッドセットをフックから外すだけで、直ちに通話をすることができる。
③信号発信
ハンドセットを取リ上げる必要はなく、「信号」の押釦スイッチを押すだけで構内の全スピーカから1KHz の信号音が発せられる。
④傍受
構内で事故があった場合など、直接自分に関係がなくても、その関係者間の通話を聞きたいことがある。その時は単にハンドセットを取り上げるだけで随時聴取することができる。また割込通話も任意にできる。
□ページングの動作
図1.2 においてチャンネルは通話の状態、フックスイッチはハンドセットがフックに掛けられている状態を示しています。(実際には、チャンネル切り替えはリレーで制御している)また制御増幅器は電源が入っている状態です。
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①呼び出しまたは指令
発信者はハンドセットステーションにおいて、まずハンドセットをフックから外すとフックスイッチが動作しヘッドアンプが働く。この際ヘッドアンプの電源は、T 回線から供給される。次に「指令」スイッチを押すと、接点1でまずハウリング防止のため自己のスピーカがP 回線より切り離され、接点2によって制御増幅器が遠隔制御され、指令用増幅器が待機状態に移る。
そして接点3によってヘッドアンプの出力が指令入力回線(C)に接続されているので、送話器に向かって話せば、音声信号はヘッドアンプである基準レベルまで増幅され、指令入力回線によって制御増幅器に送られる。ここで数百ワットに増幅され、指令出力回線(P)を通じて全スピーカから音声が放送される。
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②一般通話
発信者は前に述べた呼出の操作によって相手を呼び出した後、「指令」スイッチから手を離して待ち受ける。この時チャンネル切換器(実際には内蔵リレー)
は自動的に通話モードに戻る。呼び出された人は近くのハンドセットステーションのハンドセットをフックから外すと、両方のハンドセットステーションは通話
回線によって接続され、電話と同じように通話ができる。
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③会議通話
何人かで会議通話をしたい場合は、前述の操作によって必要な相手全員を呼び出した後、「指令」スイッチから手を離して待機し、呼び出された人は各々のハンドセットステーションでハンドセットを外せば全員で会議通話をすることができる。また本システムは指令チャンネルと通話チャンネルが独立した2チャンネル方式なので、会議中さらに別の人を招集して会議に参加させる必要が生じた場合でも、1人が「指令」スイッチを押して呼び出しすることができる。この際通話チャンネルには影響を与えないので、他の者は支障なく会議通話を続けることができる。
④警報信号発令
本システムは信号付なので、緊急信号または警報信号等を発することができる。ハンドセットステーションの「信号」スイッチを押すと指令入力回線(C)が接地され、本体制御部内のリレーの働きにより発振器の出力が指令用増幅器に接続され、P 回線を通ってスピーカから1KHz の信号音が放送される。
⑤2チャンネル同時使用
本システムでは図で明らかなように、指令・通話の2チャンネルは回路的に区別されているので、ある一組のハンドセットステーション同士が通話回線を利用して通話中でも、別の組は指令入・出力回線を利用して送話器およびスピーカでプレストークによる別の通話をすることができる。